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大阪地方裁判所 昭和34年(チ)1号 決定

決  定

大阪府北河内郡門真町門真三七二番地

申立人

松村卯三郎

(ほか三名)

右四名代理人弁護士

勝山内匠

山口伸六

同市旭区森小路町七丁目四四番地

被申立人宗数法人

念法真教

右代表者代表役員

小倉良現

右代理人弁護士

土田吉清

申立人等の昭和三四年(チ)第一号宗教法人解散命令申請事件について、当裁判所は次のとおり決定する。

主文

申立人等の本件申立を却下する。

理由

本件申立の要、は、宗教法人念法真旨には次のような宗教法人法八一条一項一、二号に該当する事由があるので、申立人等は同条一項所定の利害関係人として同法人につき解散命令を求める。即ち、(イ)念法真教の教祖である申立外小倉霊現は、山本花子(仮名)その他の多数の婦人信者に対し施教にかこつけてわいせつならびに強姦行為をなした。(ロ)同法人は右霊現の下知の下に、全教師が詐欺的言辞を弄して申立人等を含む同法人の信者から寄附を募つている事実がある。(ハ)同法人は病人の信者に対して「寒行」という苦業を強い、その結果浅尾つや他数名のものが死亡した事実があり、それ以外にも多数の患者に対し加持祈祷を行つて医療妨害行為をなしている。

しかして申立人等は、いずれも同法人の信者であるから宗教法人法八一条一項所定の利害関係人に該当し、同法人につき解散命令を求めることのできる請求権者であるというにある。

しかしながら、本件申立の内容をなす各事実が、宗教法人法八一条一項一、二号に定める事由に該当するか否かについて判断するまでもなく、申立人等が単に宗教法人念法真教の信者であるというだけでは、右各事実につき利害関係があるということはできず、したがつて同条所定の利害関係人にも該当すると認めることはできない。

よつて主文のとおり決定する。

昭和三六年九月二七日

大阪地方裁判所第六民事部

裁判長裁判官 山 田 鷹 夫

裁判官 天 野   弘

裁判官 山 下   進

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